お田植え祭2022、ゼフィルス飛ぶ

お田植え祭の朝です。準備のため早めに到着し、右の沢の奥まで車を止めにいくと、オレンジ色のシジミチョウが多数飛んでいました。ゼフィルスの仲間、アカシジミです。先日、助成金で購入した採集道具をさっそく使って捕獲、種を確認しました。

ゼフィルス(Zephyrus)はミドリシジミ類の愛称で、樹上性のシジミチョウの一群です。たいへん美しく日本には25種が生息するのですが、飛ぶのが朝夕と限られているため一般の人はほとんどこのチョウの存在を知りません。アカシジミ類は5種いて、アカシジミやウラナミアカシジミはクヌギやコナラを食樹としますがチョウセンアカシジミはトネリコ類です。またムモンアカシジミの幼虫はアブラムシなどの動物食で、アリに守られて過ごすという特異な生態を持っています。

参加者が集まり準備が進んで、お田植え祭の神事が始められました。

豊栄舞(とよさかまい)の奉納。

いよいよ早乙女に稲苗が手渡されて。

毎度ながら、小柄な乙女たちが倒れやしないかとハラハラです(笑)。

元気よく植えます。

石田高校の生徒たちも参拝してくれました。

令和4年、早乙女たちの記念写真。

その後、参加者によって手植えが行われました。

香川大学の先生・生徒さんたちも参加。堰堤に近いいちばん上の棚田を植えてくれました。

さて、食事作りチームはセレモニーが終わると急いで広場に戻ります。メインは恒例のドジョウうどんです。

長老のMさんが讃岐伝統の作り方を指導。

うどんは現地で手切りです。

他にもN先生手作りのハモのすり身を入れたうどん鍋や、差し入れの「オリーブ豚」の入ったうどん鍋もふるまわれました。

食後は観察会でため池へ。香川淡水魚研究会の川田先生が直々に解説してくれました。

コウホネが開花。

僕が昆虫採集を指導して、採集したチョウなどを見てもらいました。実際に採集して手元でチョウを見せると、誰もがその美しさに驚きます。

モンキアゲハ、アゲハチョウ類の春型はやや小型で、翅の裏側は目の覚めるような美しさを持っています。

タテハチョウ科のイチモンジチョウ。幼虫はスイカズラ科のスイカズラやウツギなどを食べます。翅の表側は黒ですが裏側はこのようにオレンジの入った茶褐色で、このようなデザインの仲間はミスジチョウ類にも多くみられます。タテハチョウ科は脚が退化して4本脚に見えます(頭部に一番近い2本の前脚が短く胸部に折りたたまれているため)。

タテハチョウ科のメスグロヒョウモン。ヒョウモンチョウの一群の幼虫は、みなスミレ類に依存するのが面白い。ヒョウモンチョウ類の翅の表側はたいへんよく似たヒョウ柄で、翅裏で識別します。中でもこのチョウだけはメスは黒色の白班というオスとまったくちがうデザインになっています。これまた不思議です。

第21回「かがわの農村・ふるさと景観写真コンテスト」でGomyo倶楽部のスナップショットが入賞(かがわグリーン・ツーリズム賞)しました。撮影・受賞者の遠藤さんが盾を持ってきたのでN先生が皆に紹介してくれました。

稲刈りのときのショットです。

かがわの農村・ふるさと景観写真コンテスト~第21回入賞作品集~

無事全部の田に田植えが済まされ、解散後に敷地を巡回しました。昨年、ソバを植えた畑には枝豆と、

キクイモが植えられています。猿やイノシシの食害が心配ですが、また水やりができないのでうまく育ってくれるか・・・。

右の沢を、ルートの草刈りから沢掃除まで独自で推進してくれているA君に、その成果を案内してもらいました。

落ち葉と泥アクに埋もれていた沢に水流が戻り、石がつやつやといい表情を見せていた。

苔も健康的な色をしています。沢掃除のおかげで、有機ガスを出している泥が流れ、ヤブ払いで沢の空気が動き、地中が呼吸し始めた証拠です。

エビネも見られます。他の発芽した植物も多く、明らかに左の沢の周囲と様子がちがっていました。今後が楽しみです。さらに上流部を探索してみたいと思います。

こうして今年もお田植え祭が終了しました。たくさんのお手伝いと差し入れありがとうございました。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする