丸太割りと丸太運び、水流の泥アク掃除

梅雨の晴れ間の良い天気です。田には先日植えた苗が育ち、水の中を覗いてみると小さなオタマジャクシやミジンコなどが盛んに泳ぎ回っています。貝の直径2〜3ミリほどの巻貝(ヒラマキガイモドキPolypylis hemisphaerulaと思われる)も多数見えました。

久しぶりに石田高校の生徒たちもやってきて作業が始まります。まずは畑に植えた菜の花の刈り取りとタネの採取です。右手の法面にはチャノキが優勢になり新芽をつけているのですが、今年は茶摘みができませんでした。

その上の上の段にはトラノオの小群落ができています。ここはヤブを払って「大地の再生」メソッドで高刈りと風みちを作って管理していた場所です。ヤブのままでも、従来の地際の草刈りでも、このトラノオは出てこなかったでしょう。

生徒さんたちは13時までということで、午前中に大仕事を片付けることに。昨年、沢の水流のん中に立っていた大きな杉の木が立ち枯れてしまいました。そのすぐ下には台風で流れてきた竹がミニダムを作って水の流れを止めていたので、ヘドロ化した有機ガスがこの木の根を痛めていたと思われます。

この場所は枯れ竹のダムの一部を片付けて、水流を取り戻すことから始め、それが泥で埋まってもまた掘り起こして、常に泥アクがたまらないように管理し続けました。そして枯れた杉は枝の落下など作業にも危険なので、伐採させてもらうことにしました。

かなり太い木だったので、元玉は半割りにして広場まで運び、その片側は囲炉裏のテーブルになりました。その伐採丸太がまだ残っているのです。そろそろここから出して皮むきし乾燥させないと虫食いと腐朽菌で使い物にならなくなってしまいます。

2番玉もやはり丸太のままでは運べないほど重いので、まず半割にすることにしました。カネのクサビを小口の中心に打ち、割れ目ができたところで2枚目のクサビをその前に打っていきます。

普通なら2番目のクサビを打てば割れ目が広がって、最初のクサビが外れるのですが、これだけ太いとそうもいきません。

動かないクサビを回収するために、広葉樹の枝から木のクサビを作って追加していきます。

途中、チェーンソーでガイドを入れながら割っていきます。

割れました! これでぐっと運びやすくなります。

小口にトチカンという金具を打ち込んで、ロープで引き上げていきます。

下りの作業は材の自重を利用して滑らせていきます。慣れないと危険な作業ですが、コツがわかれば実に簡単です。あくまで自重で落とすこと、トチカンとロープは上に小口を持ち上げることで落ちる方向をコントロールするのです。

昼になり、M君が獲物のカンパチをさばき始めました。A君は大きなコウイカを持参。ただ、流しの水が止まってしまったのが痛い。少量のため水で洗いながらさばくのが大変でした。

カンパチは刺身に、コウイカは炭火焼とバター焼きに。どちらも絶品でした! ソーメンと共に、食欲旺盛な若者たちの胃袋に消えていきました。

午後はK嬢に草刈りをお願いし、僕らはまた丸太運びの続き。そして水脈の掃除をしました。水脈掃除の基本は泥アクや落ち葉の堆積などで滞っている場所を掃除して水流を蘇らせること。そしてその水流の上を風が流れるように空間をつくること。すなわち沢の両岸の枝のヤブ払いです。これをすることで水量は確実に増え、植物が元気になります。

この取水ポイントの右岸側にも泥だまりがあり、掘ってみるとグライ化した青灰色のヘドロが溜まっていました。水流を取り戻そうと溝を掘っていくとドブのような悪臭がします。近くに枝枯れを起こしている木がありました。

実は、全国の小沢のあらゆる場所でこのような現象が起きています。かつて里山の人たちは常にこの手入れを繰り返し、沢水が滞らないように管理していたのでした。大雨や台風がこれを一掃してくれることもあるのですが、現在はそれが追いつかないほど堆積物による泥溜まりが増えているのです。

ヤブを駆逐するには伐ったり刈り払ったりするだけではダメで、この水流管理がセットで行われる必要があるのです。刈り方も重要です。雑木なども根際から伐るのではなく「幹のしなり・揺れの変わり目・腰の変わり目」で伐ると、植物は根の構造を変えることなく萌芽することができます。

また、伐った枝のまとめ方置き方も大切です。雑然とまとめて置くと風通しが悪くなり虫害が発生しやすいので、いくつかのブロックに分散し小山にして置くのがいいのです。

現在各地で行われている里山管理は、植物や風の影響を考えることなく、多くは見た目の良さで作業しています。人の作業の方向(伐り方や置き方ひとつで)でぜんぜん違った結果になって行きます。よくすれば自然が力を貸して調和の方向に導いてくれますが、悪くすれば堂々巡りになり、自然を壊してしまうこともあるのです。

運んだ丸太の皮をむいて下駄をはかせて置きました。すでにシロアリが入り穿孔害虫(主にカミキリムシやキクイムシの幼虫)の穴が多数ありますが、芯材までは侵されないので材として十分使えると思います。

ため池の木道整備や、いま壊れかけている遊歩道のステップなどに使っていきましょう。

今回の朗報です! 今シーズンはダメか・・・と諦めかけていたニホンミツバチですが、いつもの箱に入ってました! 中を撮影するとけっこうな強群のようでした。やはり、ミツバチがいるのはいいものです、楽しみです!

次回は6/12(土曜日)16時から、一般参加の「五名のいきもの観察会」です。予報では雨模様ですが雨天決行します。皆様の参加をお待ちしています。

参加要項のチラシはこちら>

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