ため池の泥さらい、クサガメの子供

このところため池にはサギが魚を狙っている姿がよく目撃される。池が浅くなってしまって、サギの餌取りに好都合なのだ。この池はH氏が保護活動を始めた15年前にはすでに農業用として(下流の田んぼの取水源として)使われることなく、それ以降も一度も「ゆる抜き(※)」をしていないという(ヒシなどは撤去していたそうだ)。

※ゆる抜き:池の取水栓を「ユル」と呼ぶ。ため池の水を田んぼに使うために水門の栓を抜いて、水を流すことをいう。このときため池は水位が減って底が見えてくるので、泥掃除や堤防の修復などを行う。池によっては秋から冬にかけてもう一度抜き、あぶらの乗った寒ブナなどを捕って「てっぱい」を食べたのは讃岐の風物詩。

5株の移植から出発したコウホネは、いまや湖面の半分近くを埋めるようになり、岸際にはガマが繁茂している。それらの毎年の堆積物が溜まりに溜まっているのだ。岸から池の底を手ですくってみると、あきらかにヘドロ化している。

数日前からN先生がポンプで水抜きを始めた。今日は水位がかなり下がって、水域は中央にしか見えない。とにかく、人力で泥をかいてみようということになった。水を含んだ泥はかなり重い。そして、当然ながら汚れる作業だ。それでもゲストのWさんたち、新規で来てくれた五名地区の親子が、作業を手伝ってくれた。

ヘドロは空気に晒すといい肥料になる。とりあえずいちばん近くの放置田(ここはぬかるんで機械が入らない)に積んでおく。

定期的なゆる抜きは、有機物の泥が海藻の養分にもなり、プランクトンを育てていた。しかし長年にわたり圧縮されたヘドロが大量に流れるとなると話は別である。還元化されたヘドロが流水に溶け出したとき、濁りをもたらし水中の酸素を急激に奪うし、それがまた下流の流れの緩やかな場所、あるいは海の浅瀬に堆積してしまう。

黒部川の「出し平ダム」が完成後6年(1991年~99年)にゲートを利用して排砂を行ったところ、下流の河川環境が著しく悪化し、富山湾の漁業が深刻な被害を受けたことはよく知られている(漁業者らが2001年に関西電力に対し訴訟、2011年和解)。ダムに貯まる土砂は木の葉や木片など有機物が混じっているため、数年でヘドロ化するのである。その後も漁業被害は改善されるどころか、むしろ拡大しており、ヘドロ化した土砂は川から河口沿岸の海に堆積し、漁業は壊滅的な被害を受けているという。

>https://yamba-net.org/44870/

>http://onigumo.sapolog.com/e75693.html

というわけで、今回は試験的に岸辺だけ試掘してまた水抜きを止め、様子をみることにした。

昼食はイノシシとヤマドリの入ったジビエ鍋、それにすいとんを投入する。

ゲストの子供たちがよく手伝ってくれる。

ダイコン、ニンジン、エノキダケ、ネギなどがたっぷり。

矢印がヤマドリの肉である。やや硬いけれど美味しかった。味はキジ肉によく似ている。

パーコレーターでコーヒー。三又もやかんもかなり年季が入ってきました(笑)。

食後は魚の調査。

浅くなってもんどりがうまく沈まないので魚はこれだけ(群はかなり確認できる)。

雨が降ったり止んだりする中、午後は池に張り出したブッシュやガマの刈り取りや、

ポンプを設置する杭の周辺の泥かきをした。

クサガメの子供を見つけた。

クサガメは在来種と思われていたが、現在では18世紀末に朝鮮から移入されたと考えられている。近年はペットとして輸入された中国産の個体が遺棄されている可能性もあるそうだ。しかしアカミミガメ(ミドリガメ)よりはずっといい。

「クサガメ、実は大陸から来ました 京大など外来種と指摘」(asahi.com)

五名地区にはこのような小さな放置ため池がいくつか存在する。外来種を入れることなく泥さらいをして水域を保全し、池同士のネットワークができないだろうか。タガメやゲンゴロウの保護と拡充のためにも。現在では小型重機があるので機動力をかければ泥さらいはできないことはないのである。

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