好天に恵まれた観察会。当倶楽部のフィールドではゴールデンウィークのただ中に、優麗・稀少種のユキモチソウとエビネ類が咲く。まずは集合写真を撮って、昼食のセッティング。
今日はワンゲルOBの面々が、会長イラストデザインのTシャツを着てきた。う〜ん、なかなか良いな♬
指導の先生は新たな別バージョンを作っていた! これもカッコイイね♬
モンドリのセッティングへため池へ。
堤にユキモチソウが開花。
この群落は台風の水害時に上流から流れてきた株を、H氏が拾い上げ、ここにまとめて植えたものである。
上流へ。足下にナルコユリがつぼみをつける。
あった! 昨日確認しておいたので安心。
少し上流には三つ並んでいる個体が。小さいのは今年初花か(ユキモチソウは発芽から花を咲かせるまで3年ほどかかる)。
同属のウラシマソウも見つけた。サトイモ科テンナンショウ属で、どちらも仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる苞を開く。ウラシマソウは花序の先が糸のように伸びて垂れ下がり、それがカメに乗って釣り竿を担いでいる浦島太郎を想起させる、というわけ。
ウラシマソウがほぼ全国に分布するのに対して、ユキモチソウは三重、奈良、四国の限られた地域にしか自生しない。したがって山野草としても人気があり、四国各県の道の駅などで500円ほどの値を付けて売られているのをよく見る(というわけで、盗掘を心配しなければならないのである)。
さて、今日はさらに上流を探索してみることにする。枯れ竹の散乱がかなりひどい状態だが、これも大雨のたびに移動しているのだ。
その中に埋もれるようにしてポツポツとユキモチソウが現れる。
H氏によると、ユキモチソウは昔はむしろ上流部に多く見られたのだそうだ。
それにしてもやはり痛々しい。竹を片付けてあげたい。
支流の沢に入ってみる。
こちらにもぽつぽつ。竹でひしゃげそうになっている個体を発見。
救出!
その後、戻り際に私(大内)はウラシマソウとユキモチソウをスケッチ。皆は昼食の準備。今日はベーコンドッグだ。
皆で手分けしてリレーする。
仕上げはアルミホイルで包んで竹の燠火で蒸し焼き。
付け合わせはタマネギとベーコンのスープ。味付けはチキンコンソメだけだというが、これがけっこうイケル♬
途中でコショウと生ハーブ(タイム)を追加。これも会う合う♬ まあ、新タマネギと自家製ベーコンのチカラなんでしょうね。
焼き上がったものが回ってきた。今回、私は火の世話も料理の手伝いもまったくしていない。この一年でみんな慣れてきて、安心して任せられるようになってきたのだ。
食後はエビネを観察に行く。こちらも群落がほぼ満開だった。
エビネはランの仲間である。北海道西南部から沖縄島まで広く分布するが、盗掘により産地は激減している。が、最近では人工増殖技術が確立されて安く手に入るため原種エビネの園芸需要は減っているらしい。
キエビネ。やや大輪であでやかだ。
エビネもよく観察すると萼(がく)の色がやや赤いものや・・・
茶色いものなどバリエーションがある。
次に下に降りて、ため池の観察と調査。
モンドリを上げて個体の数をチェック。カワバタモロコは健在である。
メダカやモツゴも混じる。
そしてドジョウもゲット! 大きいのだ、昔の日本の原種は。
堤の近くに仕掛けたモンドリには大量の魚が入っていた。モツゴがやや優勢のようである。
オタマジャクシも入った。シュレーゲルアオガエルの幼生のようだ。
コンクリートの水路に小さなオタマジャクシが大量に泳いでいるのを発見した。ここでカエルになっても、おそらくこの水路を脱出できない。そこで助けてやることにした。
おとなしいので網で簡単にすくえるのだ。
ニホンアカガエルのオタマジャクシのようだ。それにしても可愛い。五線譜をおどるオタマジャクシってこの感じだよね。
ため池に放してあげた。今日はタガメもゲンゴロウもネットに入らなかったが、彼らのエサになるはず。そして生き残った個体は田んぼに産卵してくれるだろう。
田んぼといえば、冬期湛水していたたんぼで時折「キリリッ、キリリッ」と独特のカエルの鳴き声がする。どんなカエルかな?と、鳴き声をたよりにカメラで撮影しようと近寄るのだが、まったく姿が見えない。草をかき分けても飛び出して来ないのだ。
実はシュレーゲルアオガエルは土の中にもぐって鳴いていることが多く、なかなか姿をとらえるのが難しい。
最後のT先生が育てたユキモチソウの苗を植える。徳島産の種ということなので、上流ではなく堤に植えることにした。
この日のスケッチを公開します。
それにしてもチョウやハチが少なかったね。3つ仕掛けたニホンミツバチの箱には偵察バチすら見かけなかった。レイチェル・カーソンの『沈黙の春』・・・でなければよいのだが・・・。