皮むきとアカショウビン

溜め池と棚田のある東かがわのこの地区では田んぼの構造改善事業がかなりの高率で為されている。構造改善とは、細かく分かれた田んぼを、機械が入りやすいようにまとめ、それにともなう水路をコンクリート化して、農地を効率よく管理しやすくし、生産性を高めようとするものだ。

▼航空写真で見るとこんな感じに変わる(komiの日記さん)。
http://ameblo.jp/gmckomi/entry-11584098515.html

もちろん大量の補助金が投入されるわけで、農家にとってはいいことずくめだが、たとえば古い畦の表土を剥ぎ取られてしまい、新しい専用の土木用土によって搗き固められるわけで、畦や水系に棲んでいた動植物(微生物から植物から昆虫まで丸ごと)は壊滅的な被害をこうむる。また、水の管理がより厳格に行なわれることで、曖昧な水系をうまく利用してきた水生動物がやはり激減するのである。

森林に連続する畦の草地や水辺には、人の営みと共に寄り添ってきた里山の美麗種がいるのだが、それらがことごとく絶滅危惧種、希少種(今ではゲンゴロウはおろかメダカまで絶滅しそう)になっているのは周知の通りである。

香川県に多い溜め池ではブラックバスやブルーギルのヤミ放流による在来タナゴやモロコ類が消滅、これは誰でも知っている。しかし、タナゴの産卵に欠かせないドブガイの生息は、定期的な溜め池の管理があってこそ・・・ということはほとんどの人は知らない。

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これらの消えた「微生物から植物から昆虫まで丸ごと」が、実は水を浄化していたことも、ほとんどの人は実感として持っていない。加えて合成洗剤や除草剤などの新たな化学物質がさらに追い打ちしていることも・・・。

水田と里山の周囲に数千年の長きにわたって生きてきた麗(うるわ)しの生き物たちは、人間が手で管理してきたことで、生きながらえてきたということは、考えてみれば造化の神がつくった驚くべき仕組みだ。しかし、これらが瞬く間に消える日が来ることを、いったい誰が予想したであろうか?

これに関して研究も再生も常に後手後手に回っており(人工林問題も同じだが)、研究者の文章には「この報告を機に維持管理と適正技術が深まることを期待したい」という紋切り文でしめくくられながら、実は研究者らが希少種を狙うマニアで採集だけにやけに熱心だったりして、肝心の再生作業は市民ボランティアに丸投げされているのである。

田んぼの苗にミズイロオナガシジミが止まる。平地性のゼフィルスの一種だが、発生が早いな。さすが四国だ。

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今日もテングチョウが多かったが、ヒオドシチョウも出ていた。羽化したてでキレイだ。

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ヒノキの皮むき。あちゃ~、かなり虫が入っている。

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以前にむいておいたものは虫食いがぜんぜんない。

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カミキリムシの幼虫なのだがまだふ化しばかりで、穿孔は2mm程度。だから表面の白太をはつってしまえば問題ない。

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はつり跡を活かして床柱に使ってみるかw。

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ダメージの少ない丸太もあるので皮むきも少し。

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小雨がぱらついた中、はつり作業でオノの音が谷間にこだまする。と、「キョロロロロ・・・」という鳴き声。

アカショウビンだ! それも、近い♬

しばらく手を休めて音の方角をみていると、対岸に赤い鳥が飛んだ、それも2羽。

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(ご褒美をありがとう♬)

表土の土木的利用には拙著『山を育てる道づくり』の表土ブロック工法が、ヒノキの伐採・乾燥・加工は『楽しい山里暮らし実践術』の「PART1/木を使って」が参考になる。

 

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